2015年10月24日土曜日

圧迫面接の経験から「無業社会」を思う

はじめてうつ病になった時、最初は短い休職をすればまた元に戻れるだろうと思っていました。でも精神的にどんどん落ち込んでしまいとても仕事が続けられない状態になり、休職を繰り返したものの復職できず、最終的に退職する事になりました。

その後は家に引きこもる事が多くなってしまったのですが、生活していく中で貯金は減っていくばかり。そのため、少しでも体調が回復したと思ったらお金を得るために仕事を探しました。ネットでとにかく様々な所に応募するも書類もひっかからず、やっと面接になった所で私は噂に聞いていたものを経験します。

それは「圧迫面接」です。面接でわざと悪意のある質問をしたり威圧的な事を言って、それに対する対応を見て評価すると言うものです。

向こうとしてはこうしたものに咄嗟に対応できる力などを見極めるためだと思うのですが「あなたみたいに何もない人を面接したのは初めてです(薄笑い)」というのを言われ、その後も終始ネチネチとやられました。


履歴書を見ても目立った資格や特技もないのでそう言われたら確かにそうなのですが、それならば書類選考の時点で落としてくれたらよかったのにと家路の私は怒りに震えました。貯金が目減りしていく中で、交通費や履歴書代、証明写真代でさえもただではないのに、行って一方的に悪口を言われて帰るだけの状態。私はそういう事を平然と行う面接官の恐ろしさと自分に何もない事、そしてどうしてもっとうまく対応できなかったのかと自分を責めました。

休職を重ねた果てに退職をした時に、今まで働いてきたプライドのようなものが傷ついていた事もあり、この出来事は「お前は存在する価値がない人間だ」と烙印を押されたようでした。


今はまた無事に働く事に戻り、精神疾患の経験から自助グループの活動をしているのでこうして昔の事を書けるわけですが、もし精神疾患が悪化していたらその出来事が常に頭にあって、それに縛られ続けて「どうせ自分は何もない人間だ」と自分自身を貶めていたかもしれません。

「就活うつ」なる言葉がありますが、書類で落とされ続けたり、面接を受けた後もお祈りメールが届くばかりで進展がない事が続くと、自分は社会に必要とされていないのではないかと思いがちです。さらに友達がどんどん内定が決まっていく様を見ていると、つい自分と比べたりしてさらに落ち込んでしまいます。私も仕事をしていなかった時、同じ世代の人が当たり前のように仕事をしているのを見ているのがとても辛かったです。


それまで自分が精神疾患になる事も、仕事を探すのに困るという事も、全く想定していませんでした。何かひとつのつまずきで倒れ、それを止める人やシステムがない場合、坂道を傷だらけになりながら転がって落ち続けます。

そうなると心がぐしゃぐしゃになってしまい、回復にとてつもない時間がかかったり、一生消えない程の深い傷、いつまでも塞がらない傷になってしまうのです。そうなると少しの刺激でも影響を受けやすくなってしまいます。


いじめやパワハラ、精神疾患など様々な理由で誰もが働けなくなる可能性があるのにも関わらず、そこから抜け出しにくい今の世を「無業社会」と言います。支えてくれたり話し相手になる人間関係が失われ、周囲に働いていないと言えず、それが続くとさらに働く事への自身がなくなっていきます。ここでも悪循環の恐ろしさが顔を出してきます。

一度働けなくなるとそこからリカバリーしづらく、生きていくために必要な人間関係や自信、収入などが一気になくなるというこの状態。精神疾患では多くの方が経験をしていると思われます。


働くのが当たり前、働えないというのは言い訳だ、そんな言葉でさらに傷つきます。精神疾患なのに無理をして悪化しても、会社も他人も誰も責任を取ってくれるわけではありません。かけがえのない健康を失うとそれをまた取り戻すのにとても長い時間や労力が必要になります。

働くと言う事の形や意味合いは昔と比べて変わってきているのに、いまだに社会での自分の存在を知るマーカーであり続けます。働いた年数、お給料をどのくらいもらっているか、役職など、人を判断するための素材としての比重がありすぎるのは相変わらず。

何より「働かざるもの食うべからず」という言葉や、その人には事情があるのにも関わらず「俺が辛い中働いているのにのうのうと働かない人間がいる」という他人への過剰反応や不寛容、そうしたものがさらに相談できない状況を作っているのではないでしょうか。

働くと言うものだけに固執していると、それがなくなった時に支えを失う気もします。労働以外で誰かの役に立つ事、自分の得意な事を生かせる、やりがいを感じる...そういうものが見つかれば人生もとても息づいてくると思うのですが、心を病んでいたり自身を失っている時はそれを自分でも見つけづらくなってしまいます。


そんな時こそサポートする人たちや機関、それは話をする相手という所からでも良いと思います。人と話す事で自分が好きな事やできそうな事などに改めて気付いたり、必要としてくれる場所を見つける事ができるのではないでしょうか。

自助グループでの活動のひとつの目標として「精神疾患の生活支援と障害者雇用」のトークイベントみたいなものをしたいと思っています。働くというものは生活していくためのお金を得るのに大切な事ですし、自分が人や社会と繋がっている、役に立っていると言う確認できるものでもあります。

生活支援事業や就労移行支援に携わっている方をお招きして、生活リズムの立て直しや就職へのステップなどについてお話をしていただいたり、集まっていただいた方の質問にお答えいただいたりとそうしたものができたらと思っています。


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2015年10月22日木曜日

横浜レインボーフェスタLGBT2015が開催されます


10月31日、11月1日にLGBTを知ってもらうためのイベント「横浜レインボーフェスタ」が開催されます。

にじのこころは「全国LGBT支援団体案内」というブース出店をします。各地のLGBT団体の活動がわかるちらしをいろいろ置いているブースにしています。ブース番号は4番です。

ステージでは様々なアーティストやドラァグクイーンのパフォーマンス、大学のLGBTサークルのディスカッション、ファッションショー、そして長谷部健渋谷区長&榊正文大阪市淀川区長&尾辻かな子元参議院議員&石川大我豊島区議会議員による『渋谷区同性パートナー条例制定記念!行政におけるLGBT施策の展望』というフォーラムも行われます。

ステージは手話通訳もつきますので、多くの方にその内容を知ってもらえると思います。


私も手話を少しだけ覚えているのですが、普段なかなか使わなくてかなり忘れているので、手軽に書けてすぐに消せるBoogieBoardを持っていきます。これでコミュニケーションもできるように準備しておきますので、もし何かお困りでしたらお尋ねください。


2日間にわたりステージ・ブース共にとても充実していますので、ぜひ遊びに来てください。1日につき入場料が500円かかりますが、再入場可能なのでみなとみらい地域を観光や散歩するのも良いかもしれません。このイベントだけでなく近くをめぐって楽しい時間を過ごしてください。

日没とともに横浜のシンボルであるマリンタワーがレインボーにライトアップされたり、近くでLGBT HALLOWEEN PARTYが行われたりと終日楽しめる盛りだくさんの内容となっています。

ハロウィーンなので仮装して会場に来てもOK(ゾンビ仮装、サンダルスリッパはNG)との事で、ちょっと非日常みたいな空間も楽しめると思います。LGBTを考えたりお友達を作ったり、そして楽しく盛り上がったりと面白い2日間になると思います。ぜひ会場でお会いしましょう!!


横浜レインボーフェスタ

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開催場所は「横浜港大さん橋国際客船ターミナル」及び「大さん橋CIQプラザ」です。




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