2014年4月13日日曜日

発達障害啓発週間から教わったこと

4月2日から8日までは発達障害啓発週間、そして4月2日は「世界自閉症啓発デー」でした。

世界自閉症啓発デー日本実行委員会<公式サイト>
http://www.worldautismawarenessday.jp/htdocs/

日本自閉症協会
http://www.autism.or.jp/


国連が定めた「世界自閉症啓発デー」をより多くの人に知ってもらうため、世界・日本各地のランドマークでブルーライトアップが行われ、東京タワーも青に染まりました。

また、11日は『発達障害当事者による当事者情報バラエティーUSTREAM番組「バラバラ」』が1ヶ月ぶりくらいに放送されました。

バラバラは日本初の 「大人の発達障害当事者による、大人の発達障害当事者のため」の居場所・作業所を目指し、東京都新宿区西早稲田にオープンした就労支援施設「Alternative Space Necco(オルタナティブ・スペース・ネッコ)」で開催されています。

Video streaming by Ustream

このように発達障害についていろいろと動きがある中で、先月末にTBSで放送された「報道特集」は、自閉症について考えさせられる内容でした。

重度の自閉症である小野寺凌くん。気仙沼に住んでいたのですが、震災の津波によって家が半壊してしまいました。凌くんが大声を出したりすると避難所にいる人達に迷惑がかかってしまうと思い、水道や電気が使えない状態の家にいる事にしたそうです。環境の変化がストレスになったのでしょう、彼は暴れるようになってしまったそうです。

2ヶ月ほど経って仙台市の支援学校に入り、また2ヶ月後に地元の支援学校の受け入れに目途が立ち戻ってきた凌くんですが、見慣れた町はすっかり震災で変わってしまいました。

そこから凌くんの物への「こだわり」が強くなり始めました(ふきんの端をそろえたり、靴並べ、プラスチックの容器の底にあるポリプロピレンという文字が気になったり)

そして激しく暴れる事が多くなりました。家でもテレビやガラスを壊してしまいました。医師に見てもらおうと母親の依頼で撮影された凌くんは、学校で椅子を投げたり、母親の髪の毛を強く引っ張ったりしていました。

このように震災後、変化が見られるようになったのは決して凌くんだけではないそうです。

自閉症などの障害者を多く見てきた医師で日本自閉症スペクトラム学会会長の市川宏伸氏によると、彼らの不安の根本が自身や津波を理解できない事にあるそうです。

「周りの人たちもそれなりに我慢をしているのは直観的にわかりますから、彼らなりにきっと自分も我慢しないといけないと努力している。それがどこまで努力していいのかわからない状況になてきていて、一段と不安や緊張が高まり、それが怒りやこだわり、パニックなどの症状に繋がっている」

凌くんの母親である小野寺明美さんは、盛岡で行われた日本自閉症スペクトラム学会資格認定講座に参加していました。

明美さん「息子が笑顔をなくした時に私は何だったんだろう。もう1回言葉が聞こえないかなと。言葉は道具なんですね、人間にしたら。その道具が使えない人間にとってどうしたら心の中をわかってやれるのか」

そして明美さんをはじめとする障害を持つ子の母親達が集まり「ほっぷ」という施設を開所しました...


...この放送を見ていろいろと考えさせられました。私も精神疾患になってからは些細な環境の変化でも不安になったり、気持ちが沈んだりする事が多かったので、凌くんのように避難所での生活は難しいかもしれない、そんな事を思いました。

災害に遭った時、障害のある人達は津波や火災から逃れるのも大変ですし、家などが壊れてしまっても上に書いた凌くんのように避難所では迷惑がかかってしまうのではないかとためらってしまう場合も多いと思います。

心身ともに健康な人でさえも、災害に遭遇したショック、家族や知人を亡くした悲しみ、また避難所での長い生活によるストレスで、不眠やうつ病と体調を崩したりします。そして悲しい事に自殺をする方もいます。

そんな過酷な状況に障害のある人が耐えるのはとても難しいと思います。避難所では皆が精神的にも余裕がないし、何か困った事があっても周囲には頼めないですよね。

車椅子などを使っている人は仮設のトイレを使用するのも一苦労でしょうし、精神疾患のある人は何も持たず急いで避難をして、手元に薬が無くなってしまうと不安で仕方ないでしょう。

大変な時こそ助け合わなければならない、そうわかっていても皆自分で精一杯。障害者と接する時にどうしたら良いのかわからないという事がそうさせている部分が多いと思います。

駅や電車を利用とするだけで「邪魔」だと思われたり、何を考えているのかわからないと時に「恐怖の対象」として見られてしまう様々な障害者。

普段から障害のある方と触れ合う事で、何を必要としているのか、こんな時はどう対応したら良いのか、そういうのが少しずつでも見えてくるような気がします。

そんな中、先週はNHKのニュースでは大きな災害などが起きて自閉症の人を救助する際に、どのような対応が必要かを学ぶ訓練がさいたま市で行われたと報道されていました。


NHKのニュースサイトより
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自閉症など発達障害について広く知ってもらう「発達障害啓発週間」に合わせて開かれたもので、自閉症の子どもや親、それに消防隊員などおよそ50人が参加しました。

訓練では災害などが起きて自閉症の人を救助する際、大きな音に驚いたり、突然体に触れられてパニックになったりしないようにするために、消防隊員たちはイラストや簡単な言葉を使ってけがをしたところを聞くなど、コミュニケーショの取り方を確認していました。

また、自閉症の子どもたちが実際に救助を受ける訓練も行われ、応急手当を受けたり、担架に乗ったりする体験をしました。参加した小学生は、「少し緊張しました」と話していました。

訓練を実施した埼玉県自閉症協会の小材由美子会長は、「救急隊員の人たちに自閉症の特性について理解してもらい、救助の際に役立てほしい。自閉症の子どもたちもあらかじめ体験しておけば、いざというときもパニックにならないと思います」と話していました。
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このように、障害者の事を考えた取り組みも行われています。


私達も障害のある方とどう接したら良いかを知る方法があります。
↓知的障害、発達障害、精神障害のある方とのコミュニケーションハンドブック
http://www.mlit.go.jp/common/000043355.pdf

これをあらかじめ読んで知っているだけで違ってくると思います。

障害のある方が暮らしやすい街や安心して利用できる公共機関などは、障害のない人も利用しやすいわけですが、施設の改良は時間もお金もかかります。それらをすぐに変える事は難しいですが、私達が協力する事はすぐにでもできます。

誰も心身ともにいつまでも健康でいられるとは限りません。人事異動やパワハラなど仕事面、家族や親しい人との死別などでうつ病になったり、交通事故に遭ってしまい、杖や車椅子での生活を余儀なくされる事もあります。

私も精神疾患となり気づいた事がたくさんあります。こんなに辛い思いをしている人が他にもたくさんいるのであれば、この経験を何かに生かして少しでも暮らしやすい社会を作るために役立てたいです。

精神疾患の人が体験した辛い出来事や生活の様子をまとめて共有したり、同じ疾患を持つ人達が話し合える場所を作ったり、実験的にいろいろな事に取り組んでいます。

自分がゲイで鬱持ちなので、グループもLGBTと精神疾患からスタートしてみましたが、いろいろな方に参加していただいています。パンセクAセクなどの方もOKですし、精神疾患とありますが発達障害などで悩んでいる方などもOKです。

私自身が精神的に波があるので、常に安定して活動できるかわからないのですが、いろいろな方が繋がるきっかけを生み出していきたいと思います。


LGBTが仲間作りをする場所、シェアハウスや老人ホームのプロジェクトやワークショップなどはありますが、そこには障害者である事はあまり前提となっていないような気がします。

例えばレインボーパレードとかイベントに興味があっても、精神疾患があったりすると人ごみが苦手だったり賑やかな場所は音や声が混じって頭が痛くなるので困る、会場までの移動手段(交通機関)が辛いので会場まで行けるか不安。ひきこもって家から出られない、友達と行く約束しても精神状態に波があるのでドタキャンしたら嫌だからやめておく...いろいろな理由が見えてきます。

セクシュアルマイノリティが差別されない社会を目指す大きな活動がある中で、性的少数者でありながら障害を抱えている人は、時にどちらからもはじかれてしまい、居場所がなくなってしまいます。


当事者だからこそ繋がる場所を作らなければならない、発達障害啓発週間と世界自閉症啓発デーから、改めてそういう気持ちになりました。


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